ヒッチコック『レベッカ』を彷彿とさせる濃霧と自動車の冒頭(あちらは雨だが)が結末の炎を期待させるが、スペクタクルを放棄した簡潔なアクション、編集、ショットによる火と女の消滅に脱帽!その予感をサスペンスとして着実に積み上げるHelle le Fevreによる編集も素晴らしい。
ジョセフ・マイデルとの抱擁がちゃんと構図=逆構図で撮られてることの安心感。クライマックスの切れ味を思えばその後の場面は弛緩しているともいえるが、それまでの緊張を思えばむしろこの弛緩がありがたい。狭い通路を捉えたエド・ラザフォードによる縦構図のショットも絶品。