金正恩

アテナの金正恩のレビュー・感想・評価

アテナ(2022年製作の映画)
4.5
暴動をテーマにしたフランス映画。

三度の飯より暴動が好きで暴動動画を10年くらい見続けている暴動ウォッチャーとしては外せない作品だった。

移民と警察の対立構造とバンリューを要塞化する光景は2005年パリ郊外暴動事件を彷彿とさせる。
長回しの映像美が素晴らしく、疾走感と高揚感が画面を通してひしひしと伝わってくる。
しかし、現実の暴動と一線を画するのはカリスマ指導者の存在。
大義を持って烏合の衆を組織するので、もはやこれは軍隊。
暴動と内戦の境界を絶妙なバランスで切り分けているため緊張感が尽きない。

パリで暴動あらば警棒で暴徒をボコボコにして火炎瓶を投げ付けられるお馴染みの共和国保安機動隊が熱い。
統率のとれた重装備の集団は中世の攻城戦を思い起こさせる。
中盤のテストゥドは映画史に残る名シーン。
2014年ウクライナのマイダン革命ぐらいの完璧な陣形だった。

しかしながら、中盤までは神映画だったが終盤の展開が残念だった。
リアリティーがあり過ぎて納得感はあるがカタルシスがない。
とはいえ、近年稀に見るフランス映画の傑作だった事は間違いない。
金正恩

金正恩