Hyolyna

アテナのHyolynaのネタバレレビュー・内容・結末

アテナ(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

脚本家の望んだ通り終始緊張感があり、作品にのめり込むことができた。出だし数秒で感動を与えられる技術や雰囲気の構築は純粋にすごかった。製作陣の感性が光っていると思う。
計算し尽くされた演出や時間配分は完全で、撮影者がいるということを一切感じさせずに臨場感を湧き立たせ、映像に疎い私にとってここまでできるのかと技術のすごさを教えてくれた作品。

物語も自然で、多角的な視点は欠かさず、それでもドキュメンタリーのように淡白ではなく主人公らの情動や志しを描き、丁寧でなお感動できる良い作品だった。
映像作品を多く観ない私にとっては観た時間を大切にしたいと思った。

ひとつだけセバスチャンの存在が不可解であったが、その他にも次男の最期の経緯について多くは語らないといったような場面があり、散りばめられた言葉で背景を理解できる人は自分で補完するというような感じで、セバスチャンも同様に、ヒントは散りばめられていて、ただ自分に経験や知識が足りないから謎になってしまったのではと考える。

物語はエンタメのようにキレイさっぱりで閉じるのではなく、世の中はこういう風に生きている人間もいる、という自分の知らない場所で生きる人々の想いに触れたようで、とても有意義な時間だった。
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