サメドーナツ

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥのサメドーナツのレビュー・感想・評価

3.5
"2倍の狂乱"

アーサーの妄想やリーとの掛け合いで頻発するミュージカル調の演出がノイズというよりも、動かないストーリーがシンプルに味気なく、"ジョーカー"が迎える結末よりもそこに至るまでの過程が少々退屈な印象。

ホアキンの存在感、作品全体のクールな画作り、前作よりも哀愁漂うアーサーのキャラクターなど今作にも惚れ惚れする部分があると同時に、以前の様なキラキラ輝いてる"ジョーカー"は健在しておらず、作品自体の奇抜さや狂気的な一面など『ジョーカー』ファンが求めているであろう要素は尽く前作に劣る印象。

とは言っても「もっと我々が求めてるジョーカーを観せてくれー!」という我儘な気持ちは一切無く、前作とは趣向の違う『ジョーカー』であったとしても大歓迎という気構えでしたが、それでも前作の痛快な『ジョーカー』に個人的には敵わなかったなぁと。

終盤のハーレイの気持ちが少し理解できた気がします。