製作決定の時点でヤバい匂いがしてた今作。
結果としては「案の定」になってしまった。
こうやって賛否語り合える時点で
良い映画なのだが、
前作の文化的価値を無に帰すくらいなら
作らなくても良かった。
この映画には「映画的ロマン」が無い。
SNSの言い訳投稿みたいな映画だ。
最大の問題点は「ミュージカル映画」としても「法廷映画」としても面白くなかったところ。
特にミュージカルシーンが
単調でアイデアも古臭くてグロさもヤバさも無くて
「あの」ジョーカーに見えなかった。
もう一捻り欲しかった。
メッセージ性は置いといて
ミュージカルをサボったのは否めない。
監督自身ミュージカル映画に興味が無いし
「ミュージカル映画として観ないでほしい」とか
逃げ腰の保険めいたコメントを残している時点で
フルスイングの映画が撮れなかったことを
認めてしまっている。
もはや『ララランド』でも『雨に唄えば』でも
『サウンドオブミュージック』でも
なんでもいいけど名作完全オマージュで
ジョーカーやってた方が絶対面白かった。
あれだけプライドも無く
『タクシードライバー』と
『キングオブコメディ』丸出しで
パクリと思われてもいいのかレベルで、
その上で批判を越えてくる完成度を
叩き出したのが前作だったわけで。
今回も名作ミュージカルオマージュで
来るのかと思いきや、
「ジョーカー作ってごめんなさい」映画でした。
と言うか、アメリカンニューシネマを
現代に落とし込んで
流行りの「ジョーカー」で味付けしたのが
前作の勝因だったのに
別に全否定したい訳じゃないけど
「これは映画として面白くありません」
っていうのが殆どの観客の本音だと思う。
やりたいことは分かる。
言いたいことも分かる。
前作が思いの外、社会的影響力が出て
模倣犯が世界中で現れて
あんなキャラ作ってすみませんでした。
みんな目を覚ましてください。
格好良くし過ぎてごめんなさい。
ってことなんだろうが、
それはお金を取って
観せるものではないだろう。
製作陣がTVなりSNSで発言すればいいだけで、
前作『ジョーカー』をエンタメの範囲で
楽しんだ勢からしたら
この作品は低評価を付けざるを得ない。
ジョーカーを諦めたアーサーを
街のジョーカーが追いかけるところとか
なんかもう薄ら寒いくらい
分かりやすい演出で
そこまでしなくていいと思ってしまった。
YouTuberしかり芸能人しかり
ダークヒーローに祭り上げられた人間が
自ら作り出した虚像に追い詰められる構図は
現代にマッチしていてめちゃくちゃ面白いと
思ったからこそ、
映像作品としてもっと攻めてほしかった。
アーサーの物語としても
あの結末は救いが無くて腑に落ちないし、
変に続編を作れる余白を残しているのも
若干一貫性が無いように感じる。
(アーサーを○した奴が口を裂いたり、テント弁護士が半身火傷したり)
トッドフィリプス監督、ホアキンもろ共
本作の低評価を身を挺して受け止め
社会的ジョーカーブームを止めようとしているのか。
お金を掛けてそんなことするな。
面白いものだけ見せてくれ。