TASAKA

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!のTASAKAのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

DE LA、ATCQ、ODB、MOP、CAVERNとかESGのDANCEとかの超好きクラシック曲がいいかんじにかかる、ってのでアガるのはもちろんなんだけど、それは言ってみれば今(親子で見に行く感じの)アメリカ映画ならまあ普通のことで。
その表面ポイントだけじゃない、映像も音楽も含めた「サンプリング」ってことでしかできない良さっていうか、これこそが「サンプリング」であり「NY的」であり「ヒップホップ的」であるって心意気みたいのが表現の中心にあったのが本当によかった。

絵のタッチがグラフィティ的であるって側面がテーマと呼応しているってのは大前提として示されているんだけど、サウンド面でもそれがさらにディープに通底してて。
彼らが居たくはないけど居続けなくてはいけなくなった「下水」に流れ着き堆積するスカムの中から、それでも光って見えるモノを拾い上げて錬金するっていう、「下流でのいつ報われるかもわからないアルケミスト芸術制作作業」っていうか。

それがわかりやすく前面に出てたオーディオ&ビジュアル表現が大きく二か所あって。
ダディネズミ(声:ジャッキーチェン)の積年のカンフー錬磨を見せるところで、80sジョルジオモロダー先生仕事の中でも、時代の刻印が押され過ぎの「ダサさ」をどうしても感じずには聞けないはずの、スカーフェイスのあの曲。
「もう敵ばっかで先がないのはわかってるけど、行くしかねえ」ってトニモンタナがなってから流れる「Push It to the Limit」という選曲。
そこに、カンフー映画が汚いVHS画質で引用されての「I'm NINJA~!」って声への、音像のせま~いディレイ処理。最高。凍てつくほどシビれた。。

そして、ここがマジすごかった。
肝心な場所でのスクリュー再生とか、その後まさかのネットミーム的クソダサ4つ打ちver.へのスムースな繋ぎでさらに引っ張る「DJのエゴが出まくりの時間」感。
4 Non Blondesの「ワッツゴ~インオン」ってやつ笑。劇中で(乱暴に言えば)ただ再生されるだけでしかないヒップホップクラシックスと比べて、この使われ方こそはるかにヒップホップ的だった。
あの使われ方のカッコよさはなんなんだ、カッコいいわけないじゃん、フツーに聴いても、あの曲たち。

っていう、部分。
ネットミーム的なものがスクリーンに出てきた時の「衒いのなさ」としても新しい部類の表現だし、それはスパイダーマンみたいな主流にはやれないことだし。
さらに、「でもこのクソミーム、タイミングや使い方によっては本当に大事なものとして使えるよね?」という風にまっとうに扱ってる審美眼。


「アメコミ?あんなの目のゴミ。10年1日とはこのこった。のこった、のこった、亀忍者。ハットリくんの勝ち。良かった」
とは、当時のファンとしては「やっと、ついに、出た」と感じた、1992年初頭リリースECDのファーストアルバム収録「漫画で爆笑だあ」の4小節ですが。
当時、アメコミ好きの友達や先輩の間で「さすがにそれはないでしょECD」とかって軽く物議あったの思い出したけど笑。
この時点で「カメ忍者」ことティーンネイジミュータントタートルズは「下流からの視点」であるヒップホップ的コンテンツだったのがわかるけど。
さすがにハットリくんとの勝負はつきましたねっていうか笑。

六本木で見てきたけど、外国人(かなり年少の)子供たちも要所でバカ笑いしてた場の祝祭感もよかった。

「BLACK KOREA」っていう在米アジア人を差別的に脅す内容の過去曲を「あれは意図が伝わってなくて失敗だった」とか言いながら配信から取り下げてもいないICE CUBEを認めたくなくて悔しいけど(その割にはレコードいっぱい持ってるけど)
声優としてのICE CUBE、今作では最高だったてのもありました。

面白かった~!
TASAKA

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