鹿shika

ちひろさんの鹿shikaのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
3.6
小さな海辺のある街のお弁当屋さんで働く、元風俗嬢のちひろさん。彼女は子ども、JK、おじさん、ホームレスなど誰に対しても分け隔てなく接し、元風俗嬢であることも隠さない。そんな彼女と、小さな街での日常。

試し読みで、何話か原作を読んだことがあったから見てみた。
なんか私の姉に似てるわ。風俗嬢じゃないけど、笑
中学、高校、大学の学科まで同じだったから、先生や先輩、教授から 嫌というほど姉の話を聞かされていた。
しっかりギャルで問題児だったし、彼氏も取っ替え引っ替えだったが、どの先生にも好かれていたし、私は姉の知り合いから、いつも羨ましがられた。

ちひろさんと姉の共通点は、自分の弱みを隠そうとせず、
寧ろ その場の雰囲気で、武勇伝のように自分を喋ることができるところ。
そして他人からどう思われていようが、お構いなし。寝たら忘れるし。悪口を聞いたら、その場で正面から話に行く。
そんな飄々とした佇まいと、生き様が似ているのだな。

ちひろさん同様に、私の姉も小学校の頃だが
近所の公園のホームレスと仲が良かった。
「猫を2匹連れているから、話しかけたら触らせてもらえるよ!」と言われたことがある。
(本人は覚えてすらない)

また、ストーカーに遭った時には、自ら追いかけ、話しかけに行き、説教をし、そいつを就職までさせてあげていた。
姉が引っ越すときに「人生頑張ります」と言われ、それきりだそうだ。

きっと彼女達には、偏見もなければ、その人に対してそこまで期待もしていないのかもしれない。
だからこそ、他者が心を開きやすかったりするのではないだろうか?
きっとちひろさんが風俗嬢を選択した理由もなんとなくだが分かる。

私もコミュ力は高い方だと思うが、私の姉は桁が違うのだ。
しかし、私の姉は よくこんなことも口にする。
「友達や彼氏が明日死んでも、何も思えへん」
そしてこれを本人達に言ってしまい、許されるのが彼女のすごいところだ。
他人に執着していない。自立とはこうゆうことか!と思わせられる。
いや、どうせきっと、いや絶対違う笑笑

でもきっと『ちひろさん』の作者が言いたいのは、そういうところなのではないだろうか。
幼少期の頃に少し抱いた感情が、今の生きやすい”ちひろさん”を生み出した。
そして彼女は「折角なんだから、自分らしく生きてみよう」と
ヒトやモノに対して、執着を捨てたのだろう。
多分だぞ多分。
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