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ちひろさんのitoのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
4.8
優しくて、温かくて、だけどどこか寂しくて、孤独で。

元風俗嬢のちひろさん。今は海辺の小さなお弁当屋さんの売り子をしてる。それだけでもうどんな人なのか気になっちゃいます!ちひろさんの箱は無邪気でふわふわしてて掴みどころがないけど、本日の宇宙人の部分は誰にも見せないんだろうな...楽しそうに笑っていても何故か少し寂しそうで、、。ずっと人との間に1枚壁を立てているような気がしてなりませんでした。この世の全てを知っているようで悟っているようで、小さな頃からとても壮絶な人生を歩んできたんだろうなぁって思いました。

そんなちひろさんが同じ星で生まれたって思えた人は、ちひろさんと多恵ちゃんかな。きっとちひろさんも嵐のなかに出ていきたくなるタイプでしょ、!誰にも見せなかった中の部分は多恵ちゃんにはぜーんぶ透け透けだったのね。

たぶん、見ている人のほとんどがちひろさんの本当の部分をつかみきれずに終わったんじゃないかな...私もなんだかふわふわしてます。ちひろさんて猫ちゃんみたい...何考えてるかわかんないんだもの!!

そんなちひろさんだから十人十色の悩みに寄り添って、彼女にしか出せない答えを出して伝えてあげられるんだろうなぁ。私も高校一年生のあの時にちひろさんと出会っていたかったです。きっと違う世界が広がってたんだろうな。

私はもしかしたらオカジと同じ星で生まれたのかもしれないです。最後の3人で食卓を囲むシーンで何故か分からないけれど涙が溢れてきました。私もああやって本当は楽しく、味のするごはんを食べたかったのかな...そのシーンが1番心に残っていてとても感動しました。素敵...

映像はとにかく綺麗!!きっとぬるい風が吹いてて、太陽が見えてて、それが思わず伸びをしてしまいそうになるくらい気持ちいいんだろうなーなんで想像出来てしまう映像でした。所々にあるちひろさんの本当の心を描いているようなヨリの画はとても綺麗で儚くて、ちひろさんらしさがとても伝わって来ました。そのほかのシーンでも、撮り方によって人物の心情がとても伝わってくる、作品に入り込みやすい素敵な映画でした。

どこかの誰かの物語。まさに日常だな...
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