かに

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCEのかにのレビュー・感想・評価

4.2
法学徒として全能の神さえいればと思うことが少なからずある。作中世界において大衆から見たシビュラは神と同視できるほど完璧であるが、その正体は2期の時点では鹿矛囲が言及した通り怪物である。シビュラはこれまでシリーズごとに直面してきた問題を克服して神に近いてはいるかもしれないが、まだまだ等しい正義の天秤を持つには至っていない。本作では法の廃止に乗り出したシビュラと存続を訴える常守朱の対立が主軸になっている。依然としてシビュラの目を掻い潜り犯罪を行う方法は存在しており、法との共存が不可欠になる。現行の法において改正があるように、システムのあり方は常に議論され社会の変化と共により良いものを目指していく必要がある。それは、作中の近未来でも同じことであり、その実人間の脳の集合であるシビュラは人間の遥か先をゆく能力を有していても、人間の延長にあることに違いはない。法は完璧でないシビュラのセーフティネットとしてその役目を果たし、その運用についてはこれからも議論し続ける必要がある。
あと1期と同じ凛として時雨、EGOISTの組み合わせが最高だった。
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