社会のダストダス

バイオレント・ナイトの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
4.3
これは、おバカ映画の仮面を被っているけど、自分の仕事に対してプライドを失ってしまった、かつて良い子だった大人たちに向けてのファイトソングのような映画なのではないか、クリスマスソングが鳴るなか重たい体を引きずり七転八倒しながら戦うサンタさんの姿に、思いがけず目頭が熱くなった。

『ストレンジャー・シングス』のホッパー署長ことデヴィッド・ハーバーが公務員に嫌気がさして、サンタのバイトを始めたみたいですね。最近はスリムになったと思ったら、本作ではまたポッチャリな体系になっているけど肉襦袢だろうか。途中の回想シーンとかハンマーを振り回す姿がトリプルHに見えて仕方なかった。超面白かったのでストシンのオフシーズンはサンタの仕事を続けて欲しいです。

『ホームアローン』(実は一度も観たことない)と『ダイ・ハード』(作中でDVDボックスのプレゼントがあった)のマッシュアップ作品。そして、何が驚きってこのサンタさん、クリスマスイヴにサンタの格好をした哀しい会社員とかじゃなくて、哀しいおっさんであることには変わりないが本職のサンタさんだということ。なのでサンタさん御用達のガジェット(?)を含めて若干のファンタジー要素あり。

出演陣はあまり知っている人はいなかったけど、悪役の親玉スクルージのジョン・レグイザモは、最近『ザ・メニュー』に出ていて今回はシリアスな悪い子を演じる。ワカンダの戦士みたいな黒人のマダムは『炎のデスポリス』という素敵な邦題のB級アクションに出ていて、今回も終盤唐突に銃を扱えることが分かるのはウケる。

正体不明の謎のおっさんが特殊部隊を一人また一人とクリエイティブに排除していく様は、悪党側から見るとクリスマスパーティーに紛れ込んだプレデターのようなもの。銃の扱いはからっきしな代わりに、殺し方に色んなサプライズがあるので、この手のヤバいおっさん系の映画が好きな人には安定してお薦め。良い子をいじめる悪い大人に男女平等に脳天潰しを見舞うハーバーサンタマジ惚れる。

手榴弾の爆発を見ながら「Holy s##t!」って大喜びしてるシーンが一番好き。日本でもクリスマスに公開して欲しかったという意見が多いが、クリスマスの映画をクリスマスの時期に観ると鬱になるので、私にはベストなタイミングだった。