りょう

ファミリアのりょうのレビュー・感想・評価

ファミリア(2023年製作の映画)
3.2
 地元の外国人のコミュニティや家族の在り方などの物語は、とても興味深いものでしたが、そこに“半グレ”の抗争やアルジェリアの人質テロなどの要素も強調されるので、物語の主軸を失っていました。終盤でなんとなく収束できたようですが、どれも消化不良のままです。
 役所広司さんはさすがの演技で、だからこそ浮いてしまっています。佐藤浩市さんとのシーンにだけ馴染んでいました。吉沢亮さんもいい俳優だと思いますが、この3人が外国人のキャストの素人っぽい演技にマッチしません。とてももったいないキャスティングでした。マルコスとエリカの屋上のラブシーンとか、あまり意味のなさそうな場面も少なくありません。
 豊田市が舞台なら、自動車産業で外国人の就労も苦労しないイメージでしたが、ブラジル人を嫌悪する半グレのリーダーの執念がとても理不尽で、あまりに警察がふがいないです。自分の故郷に隣接する浜松市は、かなり以前から外国人労働者との共生がうまくいっているはずです。
 生産年齢人口の激減が予想される日本は、少子化対策が失敗し、移民政策にも消極的です。しかも外国人への偏見なども根強いので、ほぼ間違いなく先進国から転落するでしょう。いまのような政府の外国人政策のままでは…。
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