matchypotter

パリタクシーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

パリタクシー(2022年製作の映画)
3.9
人生を見つめ直すような素敵なパリのタクシーの物語。
去年、映画館行くか迷ってるうちに終わってしまった作品。

お金に余裕もなく、休みもなく、免停寸前で家族ともろくに会えてもいないしがないタクシードライバー。来る日も来る日もせかせか乗客乗せては降ろすの繰り返しの日々。

そんな時に、迎車の依頼で、パリに住む92歳のマダムを乗せることに。近場かと思いきや、パリの反対側に行け、と。

目的地に向かう道中、饒舌にあれやこれやと話しかけてくるマダムがふと“寄り道”を所望しだす。

この“寄り道”が、彼女の波瀾万丈な人生を振り返ることになる“寄り道”となり、それがドライバーの彼の日常に一石を投じる話となる。

年齢も年齢のマダム、最終的な目的地はいわゆる老人介護施設。つまり、もう“終活”。
その長い人生の最後の最後の“寄り道”に連れ添った見ず知らずのタクシードライバー。

この彼女から聞かされる彼女の人生。
彼との出会い、結婚、そして、暴力と、、、。
その話を通して、彼が自らの人生や家族を顧みていく。

人生、自分が何を成すか、残すか、の意義をほんの少しだけ、厳しくも優しくもといかけてくれるような作品。

日々過ごすだけでちょっとした腹の立つことや、不平不満は出てくる。
それにいちいち突っかかって苛立つことに何の意味があるか。
逆にそれに耐えに耐えた挙句に最後に耐えきれずに暴発してしまうこともまた然り。

人生、思い通りにいかないことの方が多い中で、やりきれないことも背負っている中で、決して後戻りできない人生をどう見つめるか、、、。

かと言って、正しく生きましょう、みたいな聖人君子みたいな話でもないのがまた人間臭くて良かった。

とにかく、このマダムが飲み込んできた人生と、それを背負ってここまで生きてきた彼女の覚悟と重みというか。

そして、その最後に出会えたドライバーの変化。
良い意味で幸せなことばかりが人生における“豊かさ”でもないと思わせてくれる作品。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


F:2290
M:5903
matchypotter

matchypotter