マーフィー

フィリピンパブ嬢の社会学のマーフィーのレビュー・感想・評価

フィリピンパブ嬢の社会学(2023年製作の映画)
3.5
2024/03/16鑑賞。
2024/04/06追記。

分かりやすい話の中に日本におけるフィリピン人の抱える社会問題やフィリピンの文化などが盛り込まれていて
フィクションらしい軽さでサクッと勉強になる映画だなと思った。
しっかり実情を記録したドキュメンタリーも好きだけど、
まず興味を持つのにはこれぐらい軽くてもいいのではないかと思った。

社会問題を取り扱っているのに、出てくる人がみんな優しいので作品全体が明るく感じた。
これがいい軽さを作り出してるのかもしれない。

そんなこともあって、
飽くまで明るいラブストーリーなので、社会学的な難しい話は特になかった。
見る前はそういう部分も期待してたけど、
原作で補完できることを期待して原作あたってみます。


「いじめじゃなくて、バリア感じた」という絶妙なラインのことって、マジョリティの立場からするとどうすればいいんだろうと思った。
何よりもそういう場合があるということに気づくことから始まるのかも。


ミカがフィリピンに帰る時はさながら凱旋のようだけど、
原作の次作にあたる『フィリピンパブ嬢の経済学』をチラッと見た感じでは、尋常じゃない額を実家に送金してたり、
帰った時にお土産がないとみんながしょんぼりする描写があったりした。
なんていうか、現金ですなーと思う一方で、
映画では姉や親が同じようにして自分を育ててくれた恩返しとしてミカの動きがあることや、
やっぱり親はミカの幸せを願っていることが分かるシーンを見ると、
そんな単純ではないなと思った。


伝票とか通帳とか、手元にある何かの記載がどれもこれも小さくて見にくい。
文脈で何か分かるものもあったけど、「本当に1,000円だったか」のシーンは翔太の反応ではなく伝票の内容で分かった方がいいと思ったので、見にくいのは致命的だった。
とにかく「見えにくい」はノイズになるなと最近よく思う。

字幕が微妙に上手くないなと思った。
フィリピン語の細かいニュアンスを知らないのでなんとも言えないけど、
ミカの母親の「バイバイ娘」は違和感しかなかった。
娘に向かって「娘」って呼ぶのはもうちょっと意訳できたやろと思う。



2024/04/06追記。
原作本読了。
きちんと社会学で、映画の補足として働くのはもちろんのこと、
逆に映画が原作の解像度を上げる役割も担っているなと思った。
読んでよかった。
映画がこの問題を知るきっかけになって、原作を手にとってみてさらに詳しく知る、という流れが綺麗に決まるのでおすすめ。



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