ボブおじさん

LOU ルーのボブおじさんのレビュー・感想・評価

LOU ルー(2022年製作の映画)
3.4
それまで普通の人に見えていた隣のおじさんが実は…という映画は山ほどあったが、これはそのおばさん版。

〝愛犬と生活を送る謎めいた女性と、幼い娘を誘拐された隣人が、犯人の追跡に乗り出すサスペンス〟この短い宣伝文句とポスターのビジュアルで、大方の流れはわかってしまうので、それを承知で見ることに。

冒頭にまさかの「容疑者Xの献身」を想起させるシーンが。当時の社会情勢とアメリカの行った罪を理解してないとこのシーンはわかりにくい。

そこからは助けを求めに来た捜索依頼人と孤独な元女仕事人によるサバイバルアクションへとなだれ込む予想通りの展開。

見どころは決して屈強ではないこのおばさんが、いかに仕事を完遂するかだが、心配していた戦闘場面も〝ドン引き無双〟することも無く安心した。

身近な物を武器に変えババっと相手を倒す様は、冷蔵庫の残り物でチャチャっと料理を作るベテラン主婦の身の丈アクション。

主役の元プロを演じたアリソン・ジャネイといえば「アイ・トーニャ」で娘の才能を利用する“毒母”をパワフルに熱演したことが思い出されるが、今回は激しいアクションの中に潜む、〝消し去り難い過去の記憶〟に対する後悔を静かに演じていた。

この映画を日本でリメイクするとしたら、演じる女優は誰だろう?
一定の年齢になると母親役しか与えられない日本映画界の脆弱性が心配になる。

サスペンス映画だが、ところどころクスリとさせる場面もある。ガールスカウトのくだりは面白い。

最後に映る影は果たして誰か?
〝それが分かる様じゃへっぽこだ〟