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福田村事件のSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.5
まず、森監督、初の劇映画という事で心配があったけど普通に映画として良かったし、今年を代表する邦画の一本になると思う。

関東大震災後の流言飛語によって多くの朝鮮人や中国人、反政府的な社会主義者が殺された。
その中には間違いによる日本人も多く犠牲になった。

「福田村事件」とは千葉県の福田村で香川県の行商人達が村人により胎児を含む9人が犠牲になった事件である。
犠牲になった彼等は同時に被差別部落民でもあった。
この映画で初めて知った事やけど衝撃やった😨

終盤、村人達に朝鮮人か日本人かと問い詰められた時の行商人の親方の瑛太叫びは、日本に居ながらも常に差別されてきた者の痛烈な叫びやった。

後に助かった6人が村人に捉えられながらも般若心経を唱える。
その般若心経は途中から関東大震災の前年に宣言された被差別部落の解放を訴えた「水平社宣言」になる。
この部分は監督の脚色である。
「水平社宣言」は単に部落民の差別の解消だけでなく、全て人が自由で平等で幸福である事を訴えた日本初の人権宣言でもある。
彼等は文字も読めないのに必死で覚えた「水平社宣言」を高らかに告げる。
ココで思わず胸が熱くなってしまった・・・😭
彼等も、また身分制度の下では長年「部落民」と蔑まれて来た。
その後、事件の顛末を語る残された少年が「僕達には、みんな名前がある」と自分達の名前を誇り高く告げる。
それは同時に犠牲になった朝鮮人達の叫びでもある。
彼は殺されてしまったけど、生まれてくる赤ん坊の「望」という名前にも嬉しさを隠さなかった。

僕達は「何々人はどうだ」とか、とかく所属や属性で差別したり憶測で語りたがる、それは国や地域や人種だけで無く障害者であるとか、男性、女性であるとか、そしてLGBTQであるとか・・・

人が状況次第で豹変する怖さはもちろんやけど、
もうエエ加減に人をそんな属性で差別したり憶測で語るのはやめようや。
一人一人が自由で平等で幸せになれる世の中を目指そうやと言う監督のシンプルやけど力強く熱い想いが伝わってきたナ🥲

今、こんな日本やからこそ、そして二度と同じ過ちを犯さない為にも、多くの人に見て欲しい映画や😻
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