虚在

福田村事件の虚在のレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
5.0
叫んでも叫んでも叫んでも
届かない祈りがあるということ
未だ見ぬまま消えていった
望があったこと
「何の為に生まれたのだろう?」
そう問う若くて聡明な
青年の顔が忘れられない
何十年もの時を経て
聴こえてきた祈りは
決して無かったことにしては
いけないという誰かの
覚悟の上で成立っている
それらを僕らは
どんな風に受け止めるべきか
どこかで
僕ならそんな酷いことをしない
と言う声が聴こえる
何故そんな風に言えるのだろう
己の弱さに
振り回され続ける人間が
どうして己の強さに
過信出来るのだろう
哀しくも我々はまだ同じように
誤り続けている
では「君たちはどう生きるか」 で
だが奇しくも我々の日々は
"そんなもの"に
頭を悩ませる時間がまるで無い
いや"そんなもの"ではない
我々が最も優先すべきことで
そうするには
この世界はあまりにも
急ぎ過ぎている
一度皆で灯りを消して眠らないか
一度皆で暗く温かな部屋で
同じ音楽を聴かないか
そんな夢みたいなことを祈る
僕や僕らはやはり無力です
虚在

虚在