いぬ

福田村事件のいぬのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.5
集団心理の恐ろしさをオムニバスのような形を用いて秀逸に表現した作品。
自分で見たこと知ったこと以外を信じ、伝聞された情報を広めていくことの恐ろしさ、そして利益のために正確性のない情報を優先して広めるメディア。そうした不確実な情報と、皆がそう言っているからという思い込み、勝手な恨みが全て重なってしまった最悪の事件だ。
映画として客観的に全貌を見ていると、どうしてそう確かな情報を知る前に早まってしまうのかともどかしい気持ちになるが、自分が実際にその場に居合わせていたら、朝鮮人は怖い、こちらに危害を加える存在だ、と「皆が言っていた」から危害を加えてもいいんだ、と正当化させる、あるいは攻撃に出ていたかもしれないとおもうとゾッとする。
これはまさしく情報の伝達が出回りやすい現代でこそ起きる事象だ。インターネットに関わる機会の多い若い人にこそ見てほしいと思う。その情報は本当なのか、本当だとして攻撃して良いのか、自分の言動に責任を持つために、何か行動に出る前にその意味をしっかりと考えるべきだと思った。
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