yayou

福田村事件のyayouのネタバレレビュー・内容・結末

福田村事件(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

136分と長いのに全く飽きさせなかった。水を飲むのも忘れていた。

森達也監督はFAKEとi新聞記者しか見たことない。どちらもドキュメンタリー映画だったから意外な気がしたけど、扱う題材として意外ではないのだろう。

残酷で悲劇的なお話だった…
途中私も叫びたくなった。その人たちは日本人だし、それに日本人か朝鮮人か?そんなことが関係あるんか!

人を殺すのは人だし、人はいつでも誰でも怪物になりうる怖さと愚かさを持っているのかと思って、つらかった。

大正時代、息苦しくて。この時代を生きた人たちはみんな幸せな時があったのだろうか、と疑いたくなる。
関東大震災後、嘘をでっち上げられ、殺された人がたくさんいたこと、この背景の映画を前にみた。「菊とギロチン」その花菊が強くなって女性記者になった気がして少し嬉しかった。あと東出くん、の無駄なかっこよさ。。

目を覆いたくなるシーンはあったが、比較的アクションぽく描いている気がして、時代劇の戦うシーンの感覚で見られたのが救いだった。でなければトラウマ案件だったかも。でも泣いた。

この映画には色んな立場の人と要素がたくさんでてくる。実際にあった出来事とはいえ、うまくまとめている構成にも驚いた。もしかすると女性の扱いは当時もっと酷かったのではないかと思うけど、そのようにせず今に即した映画なのかなと思った。脚本家さんたちがちょっと意外だった。

狭い世界で上下をつけ、虐げ暴力をふるい、殺す。何の大義名分か。戦国時代も少し前も今もあまりかわっていないのか。平和な世界は実現したようで、していない。今の私たちは、未来に繋げられるような生き方をしているのだろうか。
なんで生まれてきたのか、そんな悲しい問いのまま死んでいくのが本当に悲しかった。

この作品の中の澤田夫妻の浮世離れした雰囲気はとても素晴らしかったと思う。
2人はどこへ向かうのかな…



この時のことを描いた韓国の映画「金子文子と朴烈」もまた見たい。
yayou

yayou