湯呑

福田村事件の湯呑のレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.6
ここまで演出が上手いと森達也のドキュメンタリー作家としての資質を疑いたくなるが、まあそれは冗談として、大戦前の日本が既に抱えていた迎合主義、排外主義的愚昧さを様々な人物の視点を借りながら群像劇として描き、ラストの惨劇へと雪崩れ込んでいく手腕は、まるでスコセッシの映画の様だ、などと言うと制作、脚本の荒井晴彦は怒るかもしれないが、本作の魅力は重いテーマを扱いながらあくまでエンターテイメントとして成立させたその見事なバランス感覚にある。これまでのイメージを覆す演技を見せた東出昌大、劣等感と国粋主義が同居した複雑なキャラクターを見事に演じる水道橋博士、幼さと艶かしさを湛える田中麗奈などキャスト陣の奮闘も見どころ。
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