私が生きているあいだに日本の犯した加害行為を直視するような映画を邦画で見れると思っていなかったので、うれしかった。とてもよい作品だった。
起きた出来事は過去のことだけれど、この国と国民の根っこも、人間の根っこも、世界の歪みもこの頃から変わっていなくて、その“変わらない”の中には私もいて、いつでも同じ状況になれば同じことを繰り返すのだろうと思うとかなしく、くやしく、おそろしい。
私はまっとうですよという顔をして違う人や考えを蔑み何かあれば真実かどうかは関係なく村八分。いざとなればお国のため天皇のため、あるいはみんなやっていたからという免罪符で省みることさえしない
被差別部落問題や朝鮮人迫害がおかしい、とわかっている人間だって、社会の大きな熱狂の渦の中では無力で、弱くて、止めることさえできなかった。私も、“いじめられている人を庇うと自分もいじめられる”という状況でも自分の信念を通せるほど強くはないと思う
それがとてもリアルで、今、同じことが起きてもきっとそうで。歴史を知り社会を知り世界を知り人間を知り、広い視野を持つことと同時に、社会的熱狂を生み出さないことが何より重要なのだと思う
そして今も昔も政治とマスコミの力を持ってすれば群衆心理を操るのは容易い。だからこわい。
この映画を作ることが、いかに応援されにくかったか...ということは想像に難くないが、パンフレットで「こうした題材でも興行として成功して、次に繋げたい」というような話があり、微力だがどうにか応援したいな... この作品のように、自国の愚かな行為をなかったことにするのではなく（そして知らなかったということさえありうる）、「愚かだ！」と言うことが大事だと思うから...
「鮮人なら殺していいんか」
このセリフが胸を指す
