映画鑑賞後こんなに沈んだ気持ちで席を立ったのは初めてかもしれない。実際に起こった事件がベースになっているという事実が一番しんどい。
上映時間137分は少し長いかと思ったが、村人・行商人の生活から事件後まで中弛みなく飽きずに観られた。
鑑賞前にレビューで性愛描写が余計だという意見が散見されたので身構えていたが、決して唐突だとも無駄だとも思わなかった。戦争と日々の鬱屈の積み重ねが福田村事件の下地になっていることが表現されていたと思う。
キャストは隅々まで良かったが、特に東出昌大の船頭、豊原功補の村長が本当にその土地に生きる人に見えて、素晴らしかった。
余談だが、作品のレビューで東出の過去のスキャンダルを引き合いに出しているのを見かけると、正に｢その目で見たんか？｣と言いたくなる。マスコミの情報や噂を鵜呑みにしていないか？そんな自分に気付いていないのか？と。この作品を観た上でそんな感想をわざわざ書き込むのが滑稽に思える。
このキャスティングにそんな現代の人々を炙り出す目的があるのでは、とは考えすぎか。
