大正時代の事件にフィーチャーした作品だが、時代を超えて現代進行形で当てはまる事ばかりで、他人事ではない。人種差別、メディア操作、権力濫用、言論の自由の弾圧、群衆心理、非常時のパニック等コロナ禍の現代でも世界中で起きた事。情報リテラシーへの警笛ともみた。
生き延びる為に人間の獣性が呼び起こされるのは、戦争時の心理にも似ていて、極限状態では本能的に誰にでも起こりうる事なのかもしれない。そういう状況下でいかに人間性や理性を保てるか問われているように思った。災害や戦争による攻撃はもちろん物理的に恐怖だが、最も怖いのは人間性が崩壊していくことかもしれない。
題材は非常に興味深かったが、群像劇のそれぞれの人間描写が薄く、演出が劇的すぎて興醒めした部分もある。いらない部分を削り、リアルに寄ったらもっと入り込めたかも。置いてけぼりになった感。NHKの歴史ドキュメンタリーとかで見たい。
