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福田村事件のKHのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.5
新文芸坐にて

ドキュメンタリー作家・森達也の初めてのフィクション作品。ストーリー構造やメッセージ性は誰にでも理解できる分かりやすいシナリオだし、キャラクターの持つ感情を割と単調なものだけど,映画自体の持つエネルギーが凄く高いと感じた。
群像劇のため主役級の俳優が多く出ており、そこが若干のこの映画のノイズになっているが、一人ひとりの人物が作り込まれていた。(若干記者の女性が朝ドラ味強すぎてやり過ぎてる感はあったが)
関東大震災で多くの朝鮮人や中国人や一部の社会主義者が虐殺された背景には、彼らに対する怒りや差別意識というより日常的に虐げてきた事への罪悪感が恐怖になり虐殺へと繋がっていく過程が生々しい。
物語としては至ってシンプルだが、様々な人間ドラマが描かれていて久しぶりに映画を主観的にみた。差別を描いた作品は、可哀想とか悲しいみたいな感情移入をなるべくしない様に心がけて観ているのに、この映画の中盤からラストへの展開の部分で、凄く凄く悔しかった。
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