準受験生

映画 ネメシス 黄金螺旋の謎の準受験生のネタバレレビュー・内容・結末

2.2

このレビューはネタバレを含みます

うーーーむ……。なんでこうなった……。
いいところから紹介していきます。
正直ストーリー自体はめっちゃ好き。このドラマ特有のファンタジーの盛り込みとかは返って映画のほうがうまくできていた。ARでより現実感のある映像を作りながら、それを夢の中に投影する。アンナはそれに何度も苦しめられながらも、最後はそれを利用して実行犯を倒す。ええやん。
主要キャラがバンバン死んでく(?)のも新鮮。かなり思い切った脚本だし、ドラマ終盤は『こいつ死ぬな』『こいつ死なねえな』っていうのがほぼほぼモロバレだったこともあって、夢と現実の境界が見えなくなる恐怖、先がわからない恐怖感はなかなか見ていて楽しかった。
風間の解決策もいいね。世界中が手を取り合わなければデータは開けない。よく考えたなと思う。
あと、他の方のレビューを見てみると、『最後まで黒幕がわからないこと』に不満を持ってる方が多かったみたいだけど、自分は正直明らかにされなくてよかったなと思う。本作での黒幕は窓、つまり富裕層だ。顔の見えない集団を敵として設定する事で、風間の中継でのスポットの当てられた社会的弱者の存在、つまり『平等と自由の対立』のテーマが浮き彫りにできていたので。
悪いところ。ドラマの良かった点が大分潰されているところ。アンナと風間たちがわちゃわちゃしながら周囲の愛に気づき、自らの存在を肯定していく様がドラマ版ではストーリー全編を通して描いていたのにも関わらず、本作ではかなりシリアスに振り切っていて、想像との温度差で鼻水がでた。もっとわちゃわちゃがみれるのかなーと、見る前はてっきり思い込んでいたんだが……。いや、それだけなら百歩譲っていい。こういうのも悪くないとは思う。けど、最後の最後。あれだけはやめてくれってなってしまった。別に夢オチそのものを否定してるわけじゃない。周りが酷評している『意味がわからない』というのはまぁつまり『夢か現実かわからない』ってことを言いたいんだろうけど、それ自体はなかなか面白かった。ケチつけたいのは、本当に最後の最後のシーンだけ。
ドラマ最終回では、アンナに風間ら二人が『大丈夫』って抱き合うシーンが、クサいながらも結構好きだった。同じように、映画の方では周囲の裏切りに気づきながらも『自分はそれでも生きていく』と決めたアンナの決意が描かれている。裏切り自体はドラマでもあったし、どちらも共通した信念があっての行動だったから、そこに一切文句はない。ただ、それさえも夢オチにしてしまうと、そういった決意すらもなかったことになってしまう。その後メネシス組がどんな運命を辿ったのかは描かれてないけれど、『大丈夫』って言い合った仲間たちとようやく問題を解決できたというのに、実際は一切事件の螺旋から外れることができていなかった、なんてオチは流石にどうなんだ?全然『大丈夫』じゃねーじゃん……。俺のあの時の感動を返してくれ……。それと、ワンちゃんの誘拐事件はどうなったんだ……。なんで急に解決したよ……。
ドラマ本編での対比が目立っていてかなり挑戦的な作風だった。ただ、ドラマの良さを潰している点も目立っていて、もったいねーな……って感じだった。あの一点さえなけりゃなあ。残念。
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