名波ジャパン10

正欲の名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.2
今年の東京国際映画祭最優秀監督賞・観客賞受賞作品。社会不適合で殻に閉じこもる男女2組と不登校の子供の父親の計5名の日常がオムニバス的に交互に描かれます。人数が多過ぎて観客は少なからず混乱します。また、誇張気味の人物描写にも嫌気を禁じ得ませんが、そんな歪んだ難しい役柄を新垣結衣と映画初出演の東野絢香が見事に演じており、その好演に惹かれて何とか緊張を切らすことなくエンディングまで観続けることが出来ます。特に男性恐怖症の東野絢香が相手に想いを告白するシーンの演技は鳥肌もの。日本アカデミー賞助演女優賞に値する演技だと思います。いずれにせよエンディング直前までの作品の評価は中の上程度。それがエンディングの1分間で評価が一変し、急上昇。新垣結衣の一言、稲垣吾郎の表情。オセロの黒が一挙にパタパタと白に変わっていく感じです。最優秀監督賞が納得の作品。ご覧になる方はとにかく我慢して最後まで観てください。