ペコ

正欲のペコのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.9
啓喜、夏月、佳道、大也、八重子。性別・年齢・環境も違う5人。様々な欲望、嗜好、苦悩を持った人間たちが、ある事件をキッカケに交差していく物語。まさに“多様性”を描いた本作。育った環境、出会った人間で、考え方なんて人それぞれ変わってくるのは当たり前。しかしそれを相手に理解してもらおうとするのは難しい。普通とは何か、正しいとは何か…。“こうであることが当たり前”とか“こうじゃなきゃいけない”なんてことは世の中に一つもない。しかし社会で生きていると周りを見て、空気を読んで、皆と同じように生きなきゃいけないと自然と感じてしまう。そして普通の顔をして生きなきゃいけない。
世の中には色々な趣味嗜好を持っている人がいるけれど、同時に生きづらさを感じている人もいるだろう。自分が知らない世界がたくさんあることに気付かされたし、生きやすい世界になってほしいと純粋に思いました。終わり方がちょっと勿体ない。その後を見せてほしかった。

「自分がどういう人間か人に説明できなくて息ができなくなったことってありますか?」

「生きるために必死だった道のりを“ありえない”って簡単に片づけられたこと。ありますか?」

僕も無意識に相手を傷付けているのではないかと、非常に考えさせられる内容でした。犯罪をしなければ、どんな欲があっても良い。
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