タミントン

正欲のタミントンのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
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原作読み終わったのでやっと観に行けました。
あとから色々とじわじわ考えが巡る作品でした。
小説よりも削っていて尺の都合かと思ったけど、最後の夏月のセリフに持っていくためだとしたらこれはこれで全てを語りすぎないというのは良かったのかもしれない。
原作を読んでる時は夏月や佳道側で捉えてしまっていたけど、それぞれの視点のパートがある人だけでなく子供や奥さん、職場で話しかけてくる妊婦、それぞれに求めるものがあるなぁと思った。でも実際は自分も「人それぞれ色々ある」って自分の常識の範囲でしか考えてない。
こういう作品を読んでる時だけ、多様性というワードがチラついた時だけ、広い視野を持っていると錯覚するのはやめようと思いました。
原作は会話の裏にある感情の方が文字として圧倒的に多いので、実際脚本にするのも演じるのも難しいと思いますが、バックボーンを背負って表現していてすごかったです。
でも、「いなくならないからね」は確か佳道が言ったから寺井も驚いたんじゃなかったっけ。
もしかしたら映画版は、セリフを入れ替えたというよりも、お互いに同じ伝言を遺していたのかもしれない。だとすると2人の繋がりがより確かなものに感じるから、これはこれで映画版を観て良かったです。