ふぃー

正欲のふぃーのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
2.8
問題提起自体は素晴らしいと思うが、これなら原作小説を読んだ方が断然良いのではと思わされてしまった(小説は未読)。

違和感は4つ。
①主題や説明的な台詞の連続が「いちばん好きな花」に通ずるものがあるが、あの作品と異なるのは
a)"普通の人"として稲垣吾郎が配置されており、かなりステレオタイプな"普通の人"を終始演じている点。あの存在があるからマイノリティが際立つのだろうが、"マイノリティ"対"普通の人"の二項対立に物語が収束していったのはやや消化不良というか、そんな分かりやすい話はないだろう、と思ってしまった。
b) 説明的な台詞を好んで使っている割には全てを説明しきれておらず、かといって間を楽しむ余地があまりない点。振り切るならもっと振り切っていい。

②多様性を謳っているのに
小児性愛=悪、水フェチ=善、と結局区切ってしまうような演出でいいの?という純粋な疑問。ではどういう物語にすればよかったのかと聞かれると答えられないが、そこを単純化してしまうのはどこか勿体無いように感じる。複雑なことを複雑なまま提示できていた「怪物」などと比べるとやはりこのあたりが物足りない。

③細かい演出が雑なのがかなり気になる。佐々木が服装や家の内装を見るにそこそこ裕福そうな生活を送っていること、端末にはnowtubeと表示されているのに台詞ではyoutubeと連呼していることなど。

新垣結衣の死んだ目つきは素晴らしかったし、ラストが特に何か解決されないまま終わったのはリアリティがあり良かったと思う。
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