このレビューはネタバレを含みます
「普通」ってなんだろう。
陳腐だけれど、その一言に尽きるんじゃないかなと思う。
稲垣吾郎さんが演じた寺井をはじめ、ショッピングモールの妊娠していた女性や同窓生たちなど、彼ら彼女らの言動にはとても覚えがある。
知らない価値観を一欠片でも、なるほど、と理解をすることなく、はじめから「あなたはおかしい」と思い込んでいるかのような態度。
自分を疑うことをしない人たちは一体どれだけ自分を信じているのだろうか。
自分もどこかでしてしまっているのかもしれないけれど、それでもそうした場面に遭遇するたびにそんな風に思う。
「普通」なんて言葉は、ある意味で正当化するための言葉なのではないかと思うし、人は誰しも「井の中の蛙」なのではないだろうか。
「地球に留学してる感じ」
という表現はとてもしっくりくるなと思った。
最後の新垣結衣さんの演じる桐生のシーンは鳥肌が立つようだった。
「いなくならないから」
という最後の言葉がとても切実で、それを聞かされた寺井の状況との対比も相まって、強烈な印象を受けた。
寺井を残して部屋の扉が閉まるところは、狭い世界に閉じこもっているのは「普通」に固執する寺井のような人なのだと言っているようにも感じた。