SHOCKER戦闘員の映画日和

正欲のSHOCKER戦闘員の映画日和のレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
2024.03.16
朝井リョウさん原作と言う事で何やかんや劇場鑑賞を逃してしまった一本でしたのでNetflixにてようやく鑑賞。

これまた難しい題材で来たなぁ...と言うか中々感想が書きにくい作風なだけに、
あくまで個人の意見として率直に感じた事をそのままに書くしか無いなといった印象です。

一般的に理解され難いとされる思考や欲求は比較的に誤解の対象になりやすい部分も含めて、
外部へ発信する場合、リスクの部分も合わせて考えるべきだ。というのは教訓として残りましたね。
私自身、健常者と障がい者の間。いわゆるグレーゾーンとして生まれてきた存在だという事もあり、
そういった事柄は自分から発信しなければ他者からは分からない事ですし、

別に無理して発信する必要は無いという部分と、同じ境遇の方達とコンタクトを取りたいという欲求も特に無いので書き込める部分もありますが、
これが共通の人と-繋がりたい-となった場合は上記のリスク部分も考慮した上で言動する必要はあるような気がします。

YouTubeやSNSが盛んになった事で自分なりに発信されている方の姿勢は尊重しつつも、少なからず社会経験は通らなくてはならない部分もありますし、

私も実際に社会へ出るようにからは定時に職場ヘ行って挨拶をする。
与えられた時間の中で臨機応変な業務をこなす。といったいわゆる世間一般で言うところの-当たり前-の大切さと大変さの両極を知ったからこそ、

稲垣吾郎さん演じる父の視点や気持ちも何となく分かる気がします。

作中で『バグ』と言う表現が出てきたように一定数の割合で常識や法律が通用せず個人の欲求を発散させようとする層がいるのも事実。
この多様性と呼ばれる時代の中で自分がどこまで許容出来るのかが問われてるのだろうなと改めて痛感させられました。

何となく合う人、合わない人。
自分なりに見極めて生き抜くという選択をし続けるのが人生なのだろうなと。

極論、その人の本質なんてのは家族や恋人。親友という間柄であったとしても全ては分からないものなのだ。

というところに落ち着きました。

磯村勇斗さん演じる佐々木という人柄も何処かクールな印象を与えつつも時折見せる純粋さと少年のような表情がグッドでした。
藤井道人監督の-箱庭のレミング-という作品でもYouTuber.の青年を演じられていましたが、何処かリミッターが外れた時に滲み出る表情のお芝居がお見事な俳優さんですね。