Uえい

正欲のUえいのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
2.5
去年末見逃してしまっていたので配信されていて嬉しい。タイトルは性欲の捩りだが、その通り性の正しさについて、超特殊な性癖を中心に描かれていた。

冒頭、桐生(新垣結衣)が寝るベットが水没するイメージが描かれる。生きることへの息苦しさのメタファーかと思ったらそのまま水に性的興奮するという設定で、戸惑った。

同級生達が結婚や出産をする中、取り残されるプレッシャーと、性的嗜好との折り合いのつかなさが描かれる中、同じ性癖の同級生佐々木と再開する。佐々木も同じ境遇だったため、世間体のために結婚して横浜で暮らし始め、ささやかな幸せを感じ始める。

反対に、ノーマルな人物の極端な代表として警察官の寺井(稲垣吾郎)が登場する。不登校な息子も受け入れられず、妻にもモラハラ的な態度を取る。ノーマル、LGBTQなど認められ始めたアブノーマル、そしてそこに含まれない人々の三層構造になっていて、誰でも持っている型にハマらない感覚を肯定してくれる面ではとても優しい映画だった。

ただ、テーマに比べて描かれる内容が薄く感じた。「何者」の時は就活の時期に重なったのもありかなりの恐怖を感じた記憶がある。本作も当事者ならよりくるものがあるのかも知れない。水の表現も陳腐に見えて、全然描けていない様に感じた。当事者じゃ無くても理解して近づけることはできると思うが、どこか客観的な公正な視点を保とうとしていて、そのせいでさっぱりしている。この態度が正しさを振り翳しているかの様で、描こうとしている内容と喧嘩している。ケネスアンガーの「人造の水」なら性的に興奮する人がいても納得できる笑
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