クサーバックス

ウィッシュのクサーバックスのレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
3.5
ディズニー大好きです
予告を見て期待値が全く上がらないまま劇場に行ったせいか、「思ったほど悪くはないな」と感じた
一部世間の声高な悪評で先入観持った人は、あえてそのまま行って良いかと笑

予告段階で個人的な印象は
「挑戦的な映像なのに、なぜかテレビシリーズ的なチープさ感じるな」
「スターのデザインがディズニーっぽくない?」
「予告だけで歌や映像、キャラによる惹きが無い」
と、あまり楽しみとは言えなかった

◯水彩風背景
最初期の長編アニメの水彩背景の質感を使うチャレンジは面白そうだけど、CGとの食い合わせが悪すぎる
例えば建物に吊られた大きな鐘(ピノキオオマージュのカット)が揺れるカット
当時なら建物は水彩、鐘はセルになってて、質感は異なっている
つまり水彩はマルチプレーンカメラで動く以外、基本的に動かないもの
それなのに水彩タッチの鐘がCGでヌルヌル動く事で味が損なわれている
あくまで平面素材として扱ってほしかった
あと水彩の雲は美しかったけど、すごく狭く感じる重たさがあって残念感あった

◯チープ?
キャラクターCGがチープに感じるのは、憶測だけど背景を水彩タッチにしたせいかな
その気になれば実写レベルのCGが作れるけど、それをやるとメリーポピンズみたいなアニメに実写が入ったようになってしまう
あくまで背景に馴染むよう、リアルすぎる質感やディテールは避けたのでしょう
が、中途半端に見える
コレはクオリティが低いのではなく、背景とのバランスを取る事が不可能な中で最適解を求めた結果
挑戦は素晴らしいけど、出来は悪く感じた

◯スターの存在
初めて見た時に、「コレがディズニー伝統の相棒役?」と、あまりに平凡なデザインに懐疑的でした
ただ作品を通してみてミッキーマウシングされた動きは確かにディズニーらしかった
けど、スターの存在について今作で説明や必然性が乏すぎる
愛嬌で誤魔化されるけど、都合のいいだけのマジックアイテムのようで、なんだか腑に落ちない
悪役はあんなに描いてるのに

◯マグニフィコ
魅力的な悪役作りは昨今のエンタメ映画、ディズニー映画でも成功例が多いし、マグニフィコはその点滴的な悪役だった
悪役なのに最高のミュージカルナンバーで歌い踊る
怖い時はめっちゃ怖いけどイケオジ
福山さんの歌声もピッタリ
しかし、これだけ行動原理や思想を人間臭く分かりやすく描いてきた割に、オチが残念
彼のエンディングが「キャラクターの必然的な運命」でなく、「ディズニーオマージュが目的の顛末」になっている
これが100周年作品じゃなかったら、ああいう終わりにならなかったのかな?
もっと救いがあったのかな?と思う
良いキャラなだけに不憫

◯予告編が残念
いろいろ文句はあるけど本編みて、思ったほど悪く無かった
むしろ気持ちよく映画館を出られました
それは意外とキャラが良かったから
画像や予告では伝わらないサブキャラ達の魅力が凄くあった
逆に主人公、弱すぎる
彼女は何者でも無い普通の少女なのは分かるが、主人公としてもっと描ける事あったはずなのに伝わらない
そのくせ予告編は彼女ばっかり出てくる
作品を見て良いと思ったキャラ達の良さは予告編に全く無い
歌の力も作品通してのカタルシスはあっても、単体では弱い気がする
こればかりは天才だらけのディズニーでも狙えない贅沢な希望だけど、作品が作品なだけに予告が弱かったから、期待値が低い気がする

◯「知ってる=面白い」では無い
オマージュが多すぎるのか、露骨なのか、とにかくいっぱい出てくる
中には「なるほど!」と感じる過去のモチーフの取り入れ方してるアイデアもあって楽しかった
けど、もう短編の「ワンスアポンアスタジオ」でめいいっぱい楽しませて貰ってるので、そこまで無くても満足出来た気がする
あまりに多くて、ちょっと冷めちゃう気がするので、短編を100周年の記念碑として、本作はもっと過去に囚われない作品にした方が、クオリティ高くなったんじゃないかな?と思った

◯今どき珍しいストレートさ
ここまで勧善懲悪の作品を堂々と作れるのはディズニーだからとも言える
ディズニーでももっと骨太で捻りのあるストーリーを展開する時代、ちょっと懐かしいくらいストレートなお話だった
そこが物足りない人も居るかも
でも、むしろこの位が良い!と思う人は少なく無いかと
個人的には、たまにはこういうタッチのディズニー作品みたい