戦争映画最前線文句なし、報告すべき点あり
とにかく圧倒された。
兵士に志願した若者たちが送り込まれたのは、血まみれ、泥まみれの戦場。
彼らに支給されたユニフォームは、冒頭で戦死した兵士が身につけていたものをクリーニングし、リサイクルされたものである。
そう、兵士とは消耗品に過ぎないのである。
戦場に英雄など存在せず、ひたすら無名の男たちが命を奪い合う、その繰り返しだ。
戦争のリアリティを主人公パウルを通して描いた本作を是非とも劇場で公開してほしかったと強く思う。
今だからこそ多くの人に観られるべき作品だからだ。
第一次世界大戦の敗戦国であるドイツ自身が本作を全編ドイツ語で制作してることも意義がある。
我々も画面の中の話と簡単に割り切ることはできない。
自分たちがいつ消耗品になってもおかしくない世の中である。
今日もどこかで無名の者たちが命を奪い合っていると思うと胸が痛い。
こんな世界線大いに異常あり、だ。