犯人です

西部戦線異状なしの犯人ですのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.7
【概要】
[Netflix作品]第1次世界大戦のドイツ軍兵士の姿を描き、映像化もされてきたエリッヒ・マリア・レマルクによる小説を原作とする戦争ドラマ。意気揚々と出兵した17歳の若者が、戦場の現実を目の当たりにする。出演はフェリックス・カマラーや『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』などのアルブレヒト・シュッフ、『ラッシュ/プライドと友情』などのダニエル・ブリュールなど。監督を『ぼくらの家路』などのエドワード・ベルガーが務める(Yahoo映画参照)

【あらすじ】
第1次世界大戦下のヨーロッパ。ドイツ軍に志願した17歳のパウルや仲間たちは、西部戦線で戦う部隊に配属される。最初は祖国のために戦おうと強い志を抱いていたパウルたちだったが、凄惨(せいさん)な戦場を目の当たりにし、戦意を失っていく。(Yahoo映画参照)

『良い点』
・戦争を美化しない
・兵士を使い捨てする恐ろしさ
・役者陣の熱演

《感想》
30年版のオリジナルは見たことないのですが名前は有名なので知ってはいました。
戦争の絶望感をど直球で描く映画で2時間20分と長尺にも関わらず長さを感じない傑作映画です‼️

——— 🔹美化しない戦争映画🔹 ———
戦争映画をいくつか見たことがあるのですが、兵士をヒーロー扱いしたりカッコよく見せる映画が多い印象でした。
しかし、今作品はそんな美化された戦争ではなく希望の光もない泥臭くて絶望的な戦争を描いています。
まず序盤に主人公のパウルを含め大勢の若者がドイツ軍に入隊するのですがこの時皆は高揚感に溢れておりまるで遠足気分。
そんな高揚感も束の間、10分後にはすぐに戦争と言う絶望感を容赦なく映し出してくれます。
(今でこそ戦争の悲惨さをテレビなどのメディアによって具体的に知ることができますが、当時の若者は恐らく知る術がなかったのでしょう…)
序盤のウキウキ気分と10分後の絶望感の高低差が高い分視聴者に強烈なインパクトを残すでしょう‼️
次に中盤でのフランス前線への白兵戦の場面。
最初は対兵士なのですが、一拠点を奪取してからは戦車、その次に火炎放射器が登場したりと当時の近代兵器がバンバン登場する‼︎
ドイツ軍側は近代兵器は所持しておらず、ただただ逃げ惑うだけのシーンを映し出される。
実際の戦地で一般兵→戦車→火炎放射器の順に綺麗に登場するかは疑問ではあるものの映画としては絶望感を与えてくれる良い演出だと思いました👍👍
また、全体を通して兵士は見て分かるぐらいの劣悪な環境に晒されており中盤以降泥まみれ…
しかも泥も乾き切っており見るも悲惨な状態。
不味そうな食事も美味そうに食べるし泥水でさえ啜る。
このように美化しない戦争描写に今作品の魅力が詰まっています。

——— 🔹兵士を捨て駒に🔹 ———
この映画では捨て駒のように扱われる兵士を描くシーンが多いです。
まず冒頭でハインリヒという名の兵士が死亡するシーンが写し出される。
そして、ハインリヒの着ていたブーツや軍服が回収されリサイクルされる過程を嫌なBGMと共に流れる構成。
この兵士いかに効率的に補完しているかを表しており国が一般兵を消耗品同然に見ているかのようです…
また、兵士が無惨にも殺される様も背景の一部となり、将軍が行けと言われれば地獄に赴く使い捨てのような存在で描かれています。
間接的に上層部と一般兵との食事の違いで捨て駒表現を描いています。
一般兵は
・美味しくなさそうな食事を泥まみれの手で鷲掴みにして食べる。
・戦地の泥水をすする
・服の中で潰れた卵をそのまま食べる
などどきつい食事シーンが多い反面
上層部は敷居の高い部屋で高級料理を食したり残飯を犬に投げたりなど一般兵との食事の違いが明らか。
高級料理をわざわざアップにしたシーンや、焼き立ででないクロワッサンにいちゃもんつけるセリフなど露骨に”使うモノ”と”使われるモノ”の対比が明確に表現されてます。

——— 🔸最後に🔸 ———
この映画は面白い面白くないと言うよりも見て何を感じるかが肝かなと思います。
戦争映画は名作も多いですがこの映画は特に戦争について考えさせてくれる良い作品でした。
しかし、立て続けに戦争映画を見るのはキツイかな…