私と父の休日。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後にその時の父親と同じ年齢になった娘の視点から綴っている。
消えてなくなってしまいそうなとても繊細で淡い記憶がとても愛おしい。シャーロット・ウェルズ監督の初作品。監督自身の実体験に基づいて描かれている。
フィルムに映る父親の姿。表情から過去に何があったのか、楽しくて辛い出来事のようなものが連想させられる。あの頃の一瞬が過去になり過ぎ去って行く。
父の言葉に反抗的な態度になってしまう、思春期の女の子の気持ちも凄く理解できるけど娘からの言葉に敏感な父親に胸が痛くなる。親にイラついて言ってしまった些細な言葉が相手にとっては響く。そのこと対して後悔する経験ってよくある事だと思う。実際私もそうだったからそうなんじゃないかなって思う。
父が泣き出すシーンは胸に刺さった。精神的に不安定な姿を見ていると私まで胸が熱くなる。娘の前ではさらけ出せない抑圧した気持ち。哀しみに押しつぶされそうな表情がとても苦しい。
父と娘、両方の目線で見てたけど父の悲しげな表情、苦しくて孤独に耐えきれないような姿が辛い。11歳の娘に父親の気持ちが分かる訳もなく、ただ大人になった娘がビデオテープに写った父を見てあの時のあの瞬間に後悔している。
カラオケで娘が歌ったR.E.Mの「Losing My Religion」でとても辛そうな父と一人で歌う娘の様子にもどかしさを感じずにはいられない。ダンスシーンで流れるQueenの「Under Pressure」。歌詞が父の心と重なっているような気がしてならない。父親は踊るけど娘は踊らない。