「同じ空を見るって素敵」
「どういうこと？」
「遊んでる時に空を見上げて
パパも同じように見てたら
それは同じ空ってこと
そばにいるのと一緒じゃない？
たとえ離ればなれでも」
「なぜママに愛してるって言ったの？」
「なに？」
「電話で言ってた
もう別れてるのに」
「おじいちゃん、おばあちゃん
おじさん、おばさんに言うだろ？
それと同じだ」
「それは家族だからでしょ？」
「ママも家族だ」
「大丈夫か？」
「うん でもちょっと落ち込んでる
パパにはない？
最高に楽しい日を過ごした後
家に帰ったら何もする気が起きなくて
骨が動かないの
沈んでいくみたいな妙な感じ」
「撮影はしてないよ
でも残すから 私の心のカメラに」
「いつかスコットランドに戻る？」
「いや それはない」
「なぜ？」
「パパには太陽が必要なんだ」
「笑える」
「なんて言うか、一度故郷を離れると
もうそこには居場所が無くなってしまうんだ
それにエディンバラを故郷と思ったことはない」
「私は思うよ 故郷だもん」
「それはよかった
でもどこに行き着くかは分からない
好きなところで生きるんだ」
