F

草原に抱かれて/へその緒のFのネタバレレビュー・内容・結末

草原に抱かれて/へその緒(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

このところ認知症を題材にした作品やドキュメンタリーを目にする機会が多かったので観てみたけれど、正解だった。とてもよかった。。。

モンゴルの広大な空と草原のロケーション。その風景の中で火を焚き、音楽を奏でる。その映像の美しさだけでまず観る価値あり。
馬頭琴と電子音楽だったり、母とガールフレンドだったり、これまでとこれからの対比を端々に感じた。
(誰かのレビューに坂本龍一よろしく、的なことが書かれていたけど、たしかに)

異国の暮らしだからなのか、アルツハイマーの介護のリアルな苦悩はぼかされて、あくまで母がどんどん子供に、無邪気に、自由になっていくというところにフォーカスされていた印象。
自分のことを父と間違えられても受け入れるアルス、愛だな…

認知症の人を紐で繋ぐというのは本当にやるらしいけど、それを「へその緒」に例えているのがなんとも秀逸で悲しい。

母には祖父母(死)が見えていて、そちらに行きたがるのをロープで繋ぎ止めて。
ガールフレンドに「縛るなんて身勝手よ」と叱られたけど、目を離した隙にどこか行ってしまうかもしれないっていう現実的な懸念だけじゃなくて、精神的にも目に見える形にしていないと相手との繋がりが本当にまだあるのか不安だったんだろうな。。

これを最後、息子が泣きながら切るシーンで涙腺ダムが決壊した。
子供は生まれてくる時に、へその緒という母との繋がりを切られる。そして母親は、子供と繋がれたロープを切って死へと向かう。この構図があまりにも悲しくて、美しくて…


モンゴルの遊牧民っていうの?
都会で暮らしてる人があの生活に馴染めるもんなのかな。東京暮らしの人が田舎の山暮らしにもどるようなもん?

革ジャン着てバイクや車飛ばして主人公の家にやってくるガールフレンド、いいヒロインだったな…


あと羊がかわいかった。
F

F