Uえい

イグジステンズのUえいのレビュー・感想・評価

イグジステンズ(1999年製作の映画)
4.0
クローネンバーグ流ソードアートオンラインの様な作品で、バーチャルリアリティーのゲームが題材の作品。しかも公開が1999年で、ニンテンドー64の時代というのが驚き。

劇中に出てくるゲームのデバイスは有機物で出来ていて、背中に開けた穴に腸のようなコードを差し込んで接続する。コントローラーもスティックが乳首の様だし、胎児のように動く。

この世界は近未来が舞台で、環境汚染による突然変異が発生しており、デバイスは突然変異した生物を素材に作られている。

ゲームの試遊会が何者かに襲われ、警備員のテッドはゲーム制作者のアレグラとともに逃げ出す。襲撃により壊れかけた新作ゲームを取り戻すため、アレグラとテッドでゲームをプレイし始める。

ゲームのロールプレイを通して、自己と演じるキャラクターが同化していく過程が描かれるが、リヴェットの主題である演技のプロセスを通じて現実とフィクションが移り変わるという内容にリンクしている様に思えた。リヴェットは演技での移行を描くが、クローネンバーグは電子的なデバイスを有機的に描き、それを媒介にフィクションへ移行していく。その媒介自体が非現実的な為、見ている方もどこからが現実なのか境界がわからなくなってしまう。
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