このレビューはネタバレを含みます
最初から最後までばあさんがイチャモンをつけてきて、うーん、このババア邪魔だな、と思っていた。
このばあさんがいなかったら、老いていくじいさんと牛の、朽ちてゆく先細りの生活で御涙頂戴にはなるけど、エレジーでよかったんじゃない?
ばあさんが最後の最後にじいさんを愛していたらしいことを呟くが、既に遅い。一時の情に流されて言ってるんじゃないの、と勘繰ってしまう。
じゃあばあさんの言う通りにすればよかったんかと言えばそれじゃあまりに情がない。牛ダメ→売る、畑仕事辛い→機械を使え。ばあさんに対するじいさんの情がないんだから当然の仕打ちかもしれない。ばあさんよりも牛が大事なジジイということを、牛の表情でうまく隠している。
昔小学校で食べるための豚を飼育して大論争になったなあとぼんやり思い出した。あれに近いかな。採算的には売るべき辞めるべきだが、今まで続けてきたことを簡単に辞められない。
やっぱり滅びるまで同じことをし続けることにセンチメントの要素があるんだ。だからのばあさんが、たとえ正論であっても、邪魔で仕方ないんだ。