sonozy

ファイブ・デビルズのsonozyのレビュー・感想・評価

ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)
4.0
原題の『Les Cinq Diables(The Five Devils)』という村で両親と暮らす、嗅覚に不思議な力を持つ少女が、母の封じられた過去の扉を開く、タイムリープ・スリラー。
『アヴァ AVA (2017)』の女性監督レア・ミシウス。

村のスポーツセンターのプールでインストラクター/監視員をしている大好きな母ジョアンヌ(アデル・エグザルコプロス)の香りや、自然の中のあれこれから調合した香りをビンに詰めて秘かに収集しているアフロヘアの少女ヴィッキー(サリー・ドラメ)。

ジョアンヌは朝学校にヴィッキーを送り、仕事の後はヴィッキーを連れて湖に行き、水温の低い中、ヴィッキーにグリースを塗らせ、20分間泳ぐというのがルーティン。
消防士をしているセネガル出身の優しい夫ジミー(ムスタファ・ムベング)との愛は冷めているように見える。

ジョアンヌと同じプールで働くナディーン(ダフネ・パタキア)は顔に痛々しい火傷の跡がある。

ある日、ジミーの妹ジュリア(スワラ・エマティ)が10年ぶりにやって来て、しばらく滞在することになるが、最初、ジョアンヌは来てほしくないと夫に訴えている。過去に何かあったのか・・・

ヴィッキーはジュリアに不穏なものを感じているようで、ウイスキーなどでジュリアの匂いを再現しビンに詰めるが、それを嗅ぐと意識を失ってしまう。

目覚めたのは過去の世界。若い頃の母がナディーンらと楽しげに体操の練習に向かうところだった。
その後何度かタイムリープを重ねたヴィッキーは、母とジュリアの秘密を知ることになる。。

アルノー・デプレシャン、ジャック・オディアールなど巨匠監督たちの脚本を手掛けてきたミシウス監督ならではの引き込まれるストーリー。
香りに取り憑かれ、ある種の魔力を持ったヴィッキー役のサリー・ドラメの目ヂカラ。
『アデル、ブルーは熱い色』で注目を集めたジョアンヌ役のアデル・エグザルコプロスの揺れ動く感情。
35mmフィルムで捉えた不穏で美しい映像。監督が影響を受けたという『シャイニング』『アス』『ツイン・ピークス』のオマージュシーンも。
意味深なエンディングまで、最高です。
sonozy

sonozy