フリをする事で体裁を保っている人々がそのキャラクターに固執するのではなく、きちんと揺れ動く。
ウディ・アレンの様な軽い作風でありながら、そのフリが台湾という国の中国に対する関わり方や政治のあり方みたいなものを示唆していて、台湾の当時の雰囲気や時代性が鮮明に切り取られていた。
思い返せばこの作品に出てくるエレベーターは数々のモチーフになっていたのが印象的で、その中で痴話喧嘩が行われたり、怒っているのに無理やり乗せられて強制退場させられたり、ラストシーンでも素敵な再会が行われたりする。
チチは事なかれな感じで最後は自分のモヤモヤした思いをぶちまけるのかと思いきや、エレベーターの前に立っているという最後はなんとも言い切れない。
ヘプバーンへの敬愛を感じるキャラクターだった。