JTKの映画メモ

秋日和 ニューデジタルリマスターのJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

5.0
久しぶりの再鑑賞。
拍手。完璧。
何から何まで完全に小津安二郎の統制下にあって、観てて清々しく最高に心地良い。
世界での評価は「東京物語」の方が高いってのは客観的にわかるが、わしはこのくらい軽くてユーモアがある方が好きだ。

黒澤明に関する本は何十冊も持ってるが、小津はどうだろうと本棚探したら笠智衆が書いた「大船日記 小津安二郎先生の思い出」というのが一冊だけあった。
それによると、アドリブなんてとんでもなく俳優の一挙一動まで細かく指示があったらしい。
誰よりもNGが多かった笠智衆が「それはちょっと不自然ではないですか?」と珍しく抗議したら、小津は「君の演技より映画の構図の方が大事なんだよ」と笑って応えたそうな。
いかにも小津らしい。

小津がカラーフィルムを初めて使ったのは、1970年の「どですかでん」の黒澤より随分早く、1958年の「彼岸花」となる。
小津安二郎は、たった60歳で亡くなり、カラー作品はたったの6本。
あと10年長生きしてもらって、もっとカラー作品を観たかった。
小津安二郎はカラーの方が良い。

あと、佐田啓二は息子さんの100倍オトコマエだわ。

「午前10時の映画祭」で小津安二郎やるで観に行かなかんな。