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こんにちは、母さんのプライのレビュー・感想・評価

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)
2.4
職場・夫婦・子供の人間関係に悩むサラリーマンと老境の恋に勤しむサラリーマンの母を巡るヒューマン・ドラマ。

本作は2023年時点で作られるべき作品だったのか?多くの疑問符が通過するばかりだった。

登場人物の価値観が古臭い。「離婚=不幸」・「大企業に就職=幸福」・「公務員の世話になる=悪」等の主張が飛び交う。劇中でスカイツリーの存在が明かされていることから時代設定的には平成以降だけど、若い世代ほど共感が出来ない。しかも、それらの価値観を劇中で、ほぼアップデートせずに終わる。昔の価値観にノスタルジーを感じろってこと?それって、意味あるの?

大泉洋さん演じる昭夫の友人兼同僚で宮藤官九郎さん演じた木部の人物像が最悪だった。早期退職を勧告された際、人事部長である昭夫に対して「友人を早期退職者の候補に入れるな!」と怒りをぶつけるのは余りにも公私混同。しかも、「早期退職者の候補リストは人事部の機密事項だけど、友人なら教えろ」と昭夫に対してリスクを取らせようとする。早期退職者の候補を知ることは木部にとっては得だが、昭夫にとっては何も得せずにリスクしかない。友人に持ち掛ける行為ではない。しかも、物語が進むと、過去に木部が昭夫にキツいお願い事をしたことが明かされるし、最終的には早期退職者の件で昭夫に迷惑かけたことを大して謝罪しない。誠意なく昭夫を搾取してばかりで友人としても同僚としても最低な人間。こんな友人とは縁を切るのが吉だろう。

大泉洋さん演じる昭夫が職場と夫婦で修羅場で沼っている以上、吉永小百合さん演じる母・福江の物語が印象に残らず、どうでもよくなる(笑)亡くなった夫や寺尾聰さん演じる萩生に対する愛が記号的で興味を失う。あと、2人が熱烈な関係であるのは見て分かるのに、田中泯さん演じる井上に進展を説明させたのはクドい。

不自然な説明台詞が多い。冒頭で吉永小百合さんが1人で自宅に居る時、物を落とした際に「あら、落とした」と独り言。見れば分かるわ(笑)

シリアスな話だけど、合間に笑える箇所をスムーズに挟み込む流れの良さだけは褒めたい。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐
星の総数    :計9個
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