社会のダストダス

ほの蒼き瞳の社会のダストダスのレビュー・感想・評価

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)
3.9
くそ寒い中、こんな辛気臭いサスペンスを観るのもまた良きかな

本作の舞台は1830年代だけど、内容といい、雰囲気といい、劇判といい、大好きな『羊たちの沈黙』にかなり近い匂いを感じた。良い意味でNetflixらしさの無い作品。

何気にここ最近作品公開が続いているクリスチャン・ベイルとしては本作が一番の当たりだったかな。没入型の演技で哀れな中年の役が良く似合うあたり、ホアキン・フェニックスと最近はイメージが被ってきた。こんなに寂しげな雰囲気を醸し出せるのは他に、公園にいるところをパパラッチされたキアヌ・リーヴスくらいしか知らない。

本作のワトソン君ポジションのエドガー・アラン・ポー役にハリー・メリング。『クイーンズ・ギャンビット』で既に見た顔だけど、当時はそれがハリポタのおデブなアイツだとは気づかず今でも半信半疑。その他も何気に豪華キャスト、ジリアン・アンダーソンと夫役トビー・ジョーンズとの間の美形の子供二人に父親の遺伝子を一滴も感じないのが地味に面白い。

序盤で登場人物の名前を憶えておかないとやや苦戦するが、お話自体は順当に進んでいくし、緊張感も持続して面白かった。私みたいに陰鬱な作品を摂取して元気になれる人にお勧めできます。