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ナニワ金融道〜灰原、帝国金融の門を叩く!〜のkuuのレビュー・感想・評価

3.3
『ナニワ金融道 一発目~灰原、帝国金融の門を叩く!~』
映倫区分 G
製作年 2022年。上映時間 64分。
大阪を舞台に金融のダークサイドを描き、これまでにも何度となくドラマ化、映画化されてきた青木雄二による漫画『ナニワ金融道』を、高杉真宙の主演で新たに映画化。
3週連続で劇場公開される全3話のエピソードの第1話。
3話まとめて見るもよし、1話完結(各お話の最後には続編臭わしはあるが)で見るもよし。
主人公の灰原達之を高杉真宙が演じ、加藤雅也、赤井英和、宇崎竜童など関西出身のベテランたちが脇を固める。
監督は藤澤浩和。

大学時代の奨学金の返還を延滞したことで信用情報に傷がつき、就職先が見つからないでいる灰原達之は、ある日、いわゆる『街金』と呼ばれる貸金業者の帝國金融の求人をネットで見つけ、応募する。
面接に行くやいなや、社長の金畑金三から、融資先に返済を迫る『追い込み』に行く社員の桑田澄男に付いて行くよう指示された灰原は、そこでリアルな金の世界を目の当たりにし、金融屋として生きていく決心をする。

小生の両親はお人好しでもあったり、起業が早すぎたりって所もあって(アイデアは今や当たり前になってる所も当時は認知されなかったモノも多い)、よくこないな金額を銀行やノンバンクが貸してくれたなぁってくらい莫大な借金があった。
当時は、今やアットホームなお言葉『そこに愛はあるんか~』なんてCMでほざいてる業者など昭和から生き残ってる所のキリトリ(債権回収業務)は熾烈やった。
今作品に描かれてるようなのはごく一部で、張り紙、大声、はたまた、勝手に家に入ってきてガキやった小生たちを脅すなんてザラやった。
今はオッサンになったし、微笑ましく見れてる大地真央のCMも初めて見たときには腸が煮えくりがえったものです。
まぁ、その反動か、小生は今作品で描かれてるようなノンバンクで銭は借入したことはない。
また、十代後半から一時期、『銭かし』の実態を知りたくて、今作品の灰原達之のようにパシり的なバイトもしてたし灰原の気持ちも理解できた。
銭を借りて苦しむ人たち(女子は返済力はスゴかったが野郎は返済期限がきているにもかかわらず、何の行動もせずに放置してトブのがちらほら)、一家で夜逃げする人たちを目の当たりにして心が病んだ。
あるとき、債権回収に向かった家では、一時間前にはそこで暮らしてたって温かみさえ感じる、読みかけの新聞、パンなどの朝ごはん、子供のオモチャなどそのままで、そこにあるべきはずの家族だけが居なくなった一室を目の当たりにして、こないな仕事に見きりをつけた。
なんか、ショーもないお話でもうしわけないですが、しかし、この貸金業者ってのの呼び方は古今東西様々な呼び方がある。
その区別を曖昧に使っている人も多いんじゃないかな。
同じ金融業者でも呼び方が違ったり、間違っていたりすることもある。
これはテレビのCMやらネット上の情報にも云えることで、それらで云われてるから、それが正しいとは思わない方がいい。
今や温かいCMを流しとる大手の貸金業者も始まりは今作品と似たり寄ったり、いや、もっとエグかった。
正しい知識を持ちたけりゃ、消費者センターに問い合わせるか、インターネットで多くのサイトを検索して"比較する"必要があるんちゃうかな。
そして、その抜け道を知るには今作品の原作なんかは、多少、学べれる、学レベル。
特に、街金、闇金、消費者金融、サラ金などの呼び方の違いについては誤解が多く、どこの貸金業者から借りているのかわからないということもある。
知らないうちに借入条件や返済条件で不利な業者から借りてしまう危険性がありバリ危険。
今作品に登場する街金(まちきん)てのは、古くは昭和の時代に始まった言葉で、一般的には現在のサラ金(消費者金融)と同義語と考えられているかな。
また、一部の認識やと、消費者金融の中でも小規模な貸金業者のみを指す言葉としても使われている。
ただ、高金利で厳しい取り立てを行う業者や、都道府県に登録していない業者も含めて『街金』と呼ぶ場合もあり、両者の区別は難しい。
今作品には未登録業者は出てこなかった。
あまり乱暴な解釈はできないが、狭義の "まちきん"、つまり小さくて金利が高いという意味では一理ある。
街金ちゅう言葉は、街中に営業所を構える貸金業者という意味で使われているので、都市部のビルの一室でこぢんまりと営業しているイメージが当てはまるかもしれない。
また、小規模であるがゆえに、元本が回収できないリスクに備え、金利が高めに設定されている可能性もある。
契約書は素人目にはわかりにくいものが多いが、納得がいくまで説明を求めるか、専門的な知識を持つ第三者に契約内容を確認してもらうとよい。
でもまぁ、ケツに火が付いた債務者には中々難しい話やけど。
法的に問題のある業者は、そうした契約内容の明確化に消極的な場合もあるので、これも一つの判断材料になるんちゃうかな。
って、長々と無知な講釈タレましたが🙇。
今作品は、萬田銀次郎の闇金を描いた漫画『難波金融伝・ミナミの帝王』シリーズよか、もっと土臭く身近に感じさせてくれる漫画の原作作品で、中居くん主演のドラマシリーズを見た方も多いんじゃないかな。
個人的には中居くんよりも、灰原達之は高杉真宙の方が、あのオドオド感やら巧く演じれてんのとちゃうかなぁなんて思います。
原作は1990年に連載開始、累計発行部数1600万部を誇る、青木雄二の『ナニワ金融道』で、漫画の方はもっとドギついし、その辺は角が幾分かまるくなり乖離してるって感じたし、現代風にアレンジされてたりはしてるけど(所々変なとこもあでた。債権回収にベンツで行くの無いやろって、『無いやろ』を連呼してまうとこは多々ありましたが)、雰囲気は十分描けてました。
実写映画化した3部作の第1作目で。
正直、三部作の作りには『?』は過る。
各、上映時間約60分くらいやし、Vシネマじゃあかんかったんかな。
でもまぁ、高杉真宙が演じる主人公・灰原達之のオドオド感がどない成長していくか、三部作は時間が開いても見るつもりです。
高杉真宙の共演には、灰原の教育係・桑田澄男役の加藤雅也をはじめ、宇崎竜童や赤井英和など強烈な個性の関西弁ネイティブが揃ってたし、関西弁はスムーズに聞けた。
今作品では『金融のバイブル』とも云われてた原作のディープな世界の断片しか覗けなかったけど、この令和の混迷の時代に銭(お金)との付き合い方を多少は示唆してくれた。
アウトローな世界を生きた昭和~平成の名作の主人公たちから、今の時代を生きるヒントをもらうべく立ち上がったプロジェクト『令和アウトローレーベル』の第1弾作品やそうです。
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