MasaichiYaguchi

梟ーフクロウーのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
3.9
17世紀・朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された“怪奇の死”にまつわる謎を題材にした本作は、盲目の目撃者が謎めいた死の真相を暴くため奔走する姿を予測不可能な展開で緊張感たっぷりに描いていてゾクゾクする。
盲目の天才鍼医ギョンスは病の弟を救う為に、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。
或る夜、ギョンスは王の子の死を“目撃”してしまったことで、おぞましい真実に直面する事態になる。
追われる身となった彼は、朝日が昇るまでという限られた時間のなか、謎を暴く為に闇を駆け抜けていく。
「毒戦 BELIEVER」のリュ・ジュンヨルが主人公ギョンスを演じ、「コンフィデンシャル」シリーズのユ・ヘジンが共演した本作は、2023年・第59回大鐘賞映画祭で新人監督賞・脚本賞・編集賞、第44回青龍映画賞で新人監督賞・撮影照明賞・編集賞を受賞するなど、同年の韓国国内映画賞で最多受賞している。
王の子の死の真相や、その黒幕は、比較的物語の早い段階で明かされるのだが、それを低い階級で、更に盲目であるというハンディキャップを負った“目撃者”である主人公が、どう対峙していくのかが、本作の見所であり、描きたかったポイントだと思う。