ゆっきー

The Blazing Sun(英題)のゆっきーのレビュー・感想・評価

The Blazing Sun(英題)(1954年製作の映画)
4.0
傑作!

オマー・シャリルのライバル地主がシャリフの豊作に嫉妬してサトウキビ畑をダムで水没させ他人に罪をなすり付けるという、ほぼ60年代の東映任侠映画のようなお話。今の所、シャヒーンのベストでは無かろうか。他作品と比べてめちゃショットの映画。

画面奥行が豊かすぎる。
銃撃犯が背丈以上もあるサトウキビ畑を逃げるショットや、夜の追走劇の場面で川を渡るふたりの後ろでガチョウの群れがトコトコ歩いているショットなど中々鮮烈なものがある。
またこの追走劇の場面は画面が完全にノワールで良い。突然現れる線路、汽車にグッときてしまう。

また舞台がナイル川の河岸ということもあり水面の美しさも見事に撮られている。白眉はラストの廃墟の場面か。ナチュラルにエジプトの古代遺跡が出てくるのはズルいうえに高低差、距離感も見事に使えている。

強いて言うなら、デビュー作の頃から感じていた「引っ張るべき所をあっさり処理してしまいがち」な癖は相変わらずで、前述の夜の追走劇はもっと長い時間見たかった気持ちがある。
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