このレビューはネタバレを含みます
台本から読み取り感覚的に演技して欲しいという監督と、監督の意図や考えをきちんと理解して演技したいという女優。
25歳のシャンタル・アケルマンと42歳のデルフィーヌ・セイリグのディスカッションが凄い。
良いものを作りたいという熱量が、あの静かながらも狂気を孕んだ作品に結実したのかと思うと興味深い。
男社会の映画業界で生きてきたフェミニストのセイリグは、監督をはじめとする女性が活躍するこの現場を貴重な体験だと語り楽しそうだったけれど、若さゆえ自由な発想の音響技師などのスタッフには理解してもらえず、感情的になる威圧的な態度はちょっと苦しかった。闘ってきた故の...なんでしょうけれど。
58歳で早世したセイリグ、モンパルナス墓地に埋葬されていたのかぁ...。
こんな貴重な現場を記録しておいてくれたサミー・フレイに感謝。
(シャンタル・アケルマン映画祭2023)
2023-229