まや

道草のまやのネタバレレビュー・内容・結末

道草(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

価値そのものとはということと個人の価値観を絵を介して描かれていてその構造が見ていてとてもわかりやすく面白かった。

前半のサチに会ってから付き合うまでとデートするシーンがとてもとても好きだった。説明的なセリフではなく、それぞれの性格や価値観を部屋の小道具や服装、手にしてるもので表現されているのがリアリティがあって良かった。セリフもたくさんあるわけではなく動作や仕草だけのシーンが多かったので丁寧に時間が流れていく中で心理描写が表現されていて余白がある作品だった。あえてぼかしていることでこちらが考える余地があるのがとても好きだった。

特に2人が付き合うまでの会話のやり取りがすごく好きで、いい〜!って言いたくなるほどずっと見ていたいなと思った。人が出会って惹かれていく様子を丁寧に描いてる作品が自分は好きなので胸を掴まれた。(武藤さんのキャラもとても好きだった。道雄とサチの2人で武藤さんのことどうするか困ってるシーンは大好きだった)

後半、道雄が人から与えられる価値に飲み込まれていくパートだが、その流れも自然だった。キャラクターも何人か出て来るが、それぞれがどの立場でいるのかどんな価値観なのか明確に描かれていたのでキャラクターに感情移入しやすかった。

他人と関わることで発生する自分の価値観とは、そもそも価値とは、というテーマがどんどん道雄に迫ってくるので、それを観ている側も自然と考えさせられる。

どんな時でも左右されずに、自分は自分の価値観を持って自分が好きだと思えるような自分や価値観を持ちたいと強く思った。

3日目の映画終わりのトークショーがすごく楽しかったです。片山監督が価値観の話として描いたと仰られていて、同じく登壇されていた道雄役の青野さんとカフェマスター役の谷仲さんにキャラクターとご自身の価値観の差についてお聞きされておりました。皆さんの価値観に対する考えをお話しされていて面白かったです。価値観という踏み込んだその人のパーソナルな部分が聞けたのはとても貴重な時間でした。
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