よつ

道草のよつのレビュー・感想・評価

道草(2022年製作の映画)
4.1
主人公の道雄はゴミ収集の仕事で生計を立てながら細々と絵を描いている。
絵で食っていくことは半ば諦めつつあったが、自分の絵を好いてくれる恋人と出会い、一念発起して絵を描き始める。
しかし一向に道雄の絵が売れる気配はない。
そんな折、道雄はゴミ捨て場でひときわ目を引く抽象画が捨てられてるのを見つける。出来心でその絵を持ち帰るが……。


道雄がクズすぎてむしろ好感持てる。
普通なら良心の呵責で一旦ためらいそうな場面も、迷わず突き進む!
そのおかげでテンポ良く進んで面白かった。

素朴で温かみのあるサチ(田中真琴)と、華やかだけど何処か冷たさを感じる麻美(Tao)の二人がどちらも美しく、かつシンメトリーになっていて良かった。

皆が絶賛する絵がゴミ捨て場にあったのも皮肉が込められてそう。
ゴッホの絵が生前は全く売れなかったように、本質と評価は必ずしも結びつかない。

私自身ごくまれに絵を描くことがあるが、「感情や光景を残したいと強く思った時に描きたい気持ちが湧く」という道雄の動機にはとても共感できた。

終盤の長回しはくどく感じたものの、メッセージも分かりやすく秀逸なプロットだった。
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